国際学会での研究発表

ルクセンブルクにて開催された The 13th EIASM Workshop on Talent Managementに参加し、“Detecting conceptual boundaries between talent management and strategic human resource management: A bibliometric mapping of academic literature” と題した研究報告を行いました。タレントマネジメント研究を主導する Collings, Scullion, Vaiman がホストを務めるワークショップに、約10年ぶりに参加することができました。

今回の報告は、2023年に『組織科学』に掲載いただいた論文を下敷きに、検索条件や対象期間を変えて新たに構築した書誌情報データベースを用いて、タレントマネジメントと戦略的人的資源管理の学術的議論にみられる類似点や相違点を明らかにしようとしたものです。2020年頃までの論文刊行よりも一定の論文数の増加はみられているものの、タレントマネジメントや戦略的人的資源管理に紐付いて取り上げられる著者キーワードにはあまり変化はなく、両概念を分かつ特徴は、基本的には『組織科学』掲載稿と同様のものとなっていました。

その意味では、研究内容やその結果に真新しさが乏しい面は否めないところです。しかし、海外研究者に読んでもらうハードルが高い『組織科学』掲載稿の存在やそこでの知見を英語で紹介することには、一定の価値があったと考えています。また、欧米圏のタレントマネジメント研究者からのコメントが寄せられる場に持っていくことは、国内での論文の刊行や口頭発表の実施とはまた違った面があると言えます。実際に、今回の報告については、研究手法や得られた結果について好意的な反応が得られたと同時に、考察部分については国内での研究活動のなかで指摘されることのなかった追加的な論点をいくつか得ることができました。

今回の報告内容については、二重出版や自己剽窃の問題が生じないように留意しつつ、国際学術誌への掲載を目指して取り組んでいきたいと思います。

柿沼 英樹
柿沼 英樹

流通科学大学商学部教授 | 人的資源管理論専攻
タレントマネジメントや雇用主ブランディングに関する研究に取り組んでいます。